カーボン市場とは

カーボン市場の説明

カーボン市場は、カーボンクレジットの売買を促進する関係者と取引所が集まったものです。カーボンクレジットは、大気中のCO2やその他の温室効果ガスを二酸化炭素1ユニット分(通常1トン)削減または除去することを意味します。 現在、カーボン市場は2つ存在します。

  • コンプライアンス市場は、1997年の京都議定書の発効により発展しました。この市場は、規制主体によって管理され、法的拘束力を持ち、施行されます。事業者は排出量を制限され、もし排出量が許容量を超えた場合、追加でクレジットを購入するか、罰金や処罰を受けなければなりません。この市場の例としては、EUの排出権取引制度(ETS)が挙げられます。

  • 2000年代半ばから後半にかけて、組織が独自に排出量削減目標を設定するようになり、ボランタリー市場が発展しました。この市場は法的拘束力がなく、目標を達成できなかった場合の罰則や罰金もありません。あくまでも、排出量を減らしたいという組織の意思によって動いています。

なぜカーボン市場が必要なのか

カーボン市場は、企業や国に排出量に対する責任を負わせるためのツールとして生まれました。キャップ&トレード制度は、市場で最初に開発された仕組みの1つです。これらの制度は、市場に参加する事業者に一定量の排出量を割り当て、事業者間で排出枠を取引できるようにすることで機能します。例えば、A社に年間1,000トンの排出量割り当てがあったとして、800トンしか排出しなかったとします。A社はこの余剰能力を、許容量を超えて排出した他の企業に売却することができるのです。

市場が発展し、ボランタリーな側面が強まるにつれて、CO2削減技術への投資を誘導する効果的なツールとして浮上してきました。カーボン市場がなければ、プロジェクト開発者は資金を確保することが困難です。しかし、カーボン市場が確立されていれば、クレジットに対する十分な需要があるため、投資家は安心してプロジェクトの開発を支援することができます。その結果、より多くの投資家やプロジェクト開発者が集まり、CO2除去や削減を加速させる遠心力が生まれるのです。

現在の状況

ボランタリーカーボン市場(VCM)は、2021年に初めて10億ドルの大台を突破し、急成長しています。カーボンクレジットの発行量は2021年に3.5億トンCO2eとほぼ倍増し、需要の指標と見られる償却量も2021年に0.59億トンCO2eと、やはり2020年に比べ倍増しています。ただ、世界全体のCO2排出量が367億トンCO2eなので、VCMは世界全体のCO2排出量の1%しかカバーしていないことになます。

これはまだスタート地点にすぎず、2050年には15倍から100倍の需要が見込まれています。VCMは複雑です。ステークホルダー、方法論、プロジェクトの種類は多岐にわたり、コンプライアンス市場の外で運営されています。これらの要因が、透明性の欠如やクレジットの二重計上といった問題を引き起こしているのです。

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